ご案内
顧客ニーズが多様化・細分化している現代において、顧客ニーズをつかみきれないままに、売主の意図や企業側の経験則で住宅用地を区画割りして住宅を建てても、よほど低価格でないかぎり、売れないのは当然である。
マーケット・インの手法を取り入れて、顧客と不動産会社側とのミスマッチを解消させるための仕組み。
それがNのサービスなのだ。
現在、Nのサービスを活用してマイホームを建てる顧客層の半数以上は、「団塊ジュニア世代」が占めているという。
自分らしさを追求する団塊ジュニア世代にとって、顧客の視点を重視するNのサービスは魅力的なのだろう。
同社が事業を展開している東京・城南エリア(港区、渋谷区、目黒区、世田谷区、大田区、品川区の六区)には高級住宅地が集中しており、戸建分譲を手がける住宅会社にとっては最大の激戦区である。
その激戦区のエリアにおいて、急成長の原動力となっているのがこのNのサービスであり、同社の売上高は一年目の平成十四年八月期が七億五〇〇〇万円、二年目の平成十五年八月期は二九億円、三年目の平成十六年八月期には四二億円、そして平成十七年八月期は五四億円と、着実に業績を伸ばしている。
H氏の考え方の根本には、「建ててから売る」という従来型の不動産業界の常識を覆し、真っ先に顧客のユーズをつかむという逆転の発想がある。
そして、顧客の要望や好みを的確につかんでいるからこそ、平成十三年に設立して以降、毎年のように売り上げを伸ばすことができるのだろう。
注文住宅を中心とする戸建住宅市場の規模は、首都圏のなかでも特に都心部において拡大の傾向が表れている。
第一章で述べたように、過去十年にわたって地価下落が続いて値ごろ感が出てきたうえに、下げ止まり感も加わり、いまのうちに首都圏や都心にマイホームを取得しようという人が増えてきたということだろう。
都心回帰の理由としては、職場・住居間の距離を短縮し、通勤時聞を減らして余暇時聞を充実させたい、あるいは遅い時間まで遊んだり仕事をしても、帰宅しやすいというメリットが受け入れられているようだ。
いわゆる都心回帰現象が顕著になってきたのは一九九〇年代半ばごろからであり、東京都の人口は年々増えている。
特に、同社が事業を展開している東京・城南エリアは、東京都全体の人口伸び率を上回る勢いで人口が増加している。
実際、「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」を見てみると、平成十四年から平成十五年にかけて、東京都全体では一一九〇万七三五〇人から一一九九万六二一一人となり、八万八八六一人増加した。
そのうち、城南エリアは二三五万三〇二九人から二三六万九八四六人となり、一万六八一七人増加した。
域南エリアでは、新設住宅の着工戸数も増加しつつある。
東京都全体よりも城南エリアの伸び率のほうが高い。
「建築統計年報」(東京都都市整備局)から算出すると、東京都全体で見た新設住宅の着工戸数は平成十四年が一七万四五九六戸、平成十五年は一九万二四二七戸となり、およそ一〇%の伸び率をみせている。
そのうち、城南エリアの着工戸数は平成十四年が四万二五六四戸、平成十五年は四万九〇八九戸と、およそ一五%の伸び率をみせ、東京都全体よりも城南エリアの伸び率のほうが高い。
このように、城南エリアは都内でトップクラスの市場規模と成長性があり、当然、競合するライバル会社も多い。
Nを創業するにあたって、最大の激戦区を選んだのだろうか。
H氏に聞いてなぜ、みた。
「住宅市場としての条件に恵まれている城南エリアは、ここに住みたいというあこがれのエリアです。
地方から東京へ上京した人のなかでも、成功者が住んでいるエリアというイメージが東京・城南エリアにはあります。
たしかに人気エリアで戸建てを販売するとなれば、営業は簡単ではありませんし、このエリアを希望する顧客には弁護士、司法書士、設計士たちとのつながりを持っている人が多く、まだなんの実績もないNが、このエリアで成功するには条件は厳しいですね」しかし、厳しいエリアをあえてターゲットにした理由は、そのほうがチャレンジ意欲が湧くし、組悪なローコスト住宅か参入できないという読みがあった。
今後は城南六区のほか、やはり人気の高い神奈川県の東急田園都市線沿線や東急東横線沿線に事業エリアを拡大し、将来的には全国の政令指定都市で事業を展開しようという構想がH氏にはある。
それに、激戦区である東京・城南エリアで成功すれば、住宅業界での認知度も向上し、ひいては社員たちの自信にもなるはずだ。
「東京の渋谷区や港区を含む城南エリアといえば、誰もが気になる地域です。
そこにマイホームを構えることは、お客さまにとっても、私たちのような住宅・不動産会社にとってもステータスにつながります。
それに、マイホームを建てれば、友人・知人、会社の同僚などを招いてパーティを聞くこともあるでしょう。
あるいは、引っ越しの手伝いなどで後輩や部下などが、その家に集まってきます。
そこで、当社のサービスを利用して住宅を建てたことやその内容にも話がおよぶはずです。
なかには、『おもしろい仕組みですね。
私もやってみよう』という人がいるかもしれません。
口コミに勝る宣伝はないと私は思っていますので、一つの成約が次の成約につながっていくかもしれない。
そうして成功者から成功者へと成約が連鎖し、しだいにNの名が浸透していく可能性を秘めたエリア、それが城南エリアなのです」成功者が多く住む人気エリアであるだけに、城南エリアの住宅用地は高額である。
だから、同社が成約した物件の平均面積は一七〜一八坪(約五五〜六〇平方メートル)、建ぺい率は六〇%、容積率は二〇〇%、三階建ての3LDKが一般的で、土地と建物を合わせた価格帯は四〇〇〇万〜七〇〇〇万円が主流だ。
購入者は前述のように団塊ジュニア世代が半数以上を占める。
「このエリアが高額なのに人気がある要因は、大手町や丸の内、または品川、新宿などのビジネス街への通勤に便利だからです。
そうした条件に加えて、有名私立校に通学している子どもにも交通至便なエリアを選ぶとなると、やはり城南エリアが候補になりますね。
そのほか、住所にこだわり、渋谷区、世田谷区、目黒区などにあるブランド性の高い住所で住宅用地を探したいというお客さまもいます。
当社は、そうしたお客さまの要望に一つひとつ応え、三年後には二〇〇戸の住宅を供給することを当面の目標としています」この目標を達成するには、Nが追求してきた顧客本位のサービスをさらに充実させることに加え、提携する仲介会社や工務店との密な連携と職人たちのマンパワーの向上が急務だという。
東京・城南エリアを拠点に事業を展開するNは、設立からわずか一年後の平成十四年九月、ビジネスモデルの原型である「不動産共同購入マッチングシステム」の特許を出願した。
この時点から同社は単なる不動産・住宅会社ではなく、独自のビジネスモデルという武器を持ったオンリーワン企業に変貌したといえる。
そして、同社は城南エリアに密着した地元の不動産会社と提携し、さらに提携先企業の営業担当者が入手した情報を収集する携帯電話情報収集システム「N・ネット」を開発。
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